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2001 年度 実績報告書

準結晶の安定性の起源〜高温X線回折法によるランダムタイリングモデルの検証〜

研究課題

研究課題/領域番号 13640380
研究機関東京大学

研究代表者

渡邉 康裕  東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80182955)

研究分担者 七尾 進  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60013231)
キーワード準結晶 / フェイゾン / 高温 / X線回折 / Al-Cu-Ru / Al-Pd-Ru / ランダムフェイゾンモデル / 放射光
研究概要

準結晶の基本構造である準周期格子は,高次元の周期構造の3次元実空間への射影として記述されるため,準結晶の原子の空間配置には通常の格子振動の自由度(フォノン自由度)のほかに,射影する際の直交補空間の位置の揺らぎに関係するフェイゾンの自由度がある.フェイゾン揺らぎによって配置のエントロピーは非常に増大するので,自由エネルギーの減少が可能となる.フェイゾン揺らぎは実空間では原子の平衡位置の生成消滅を引き起こし,現実の系ではこれは拡散によつて実現されると考えられる.多くの準結晶合金がその相図上で,原子拡散が容易になる高温で広い安定領域を持っていることからこのモデルが有力視されている.本研究では,高温X線回折測定でランダムフェイゾンモデルを直接的に検証することを目的とする.
本年度は、予備実験として粉末X線回折を用いて、Al-Cu-Ru、Al-Pd-Ru系正二十面体準結晶の高温回折実験を行った。その結果、散乱ベクトルによって、回折強度の減少に差が見られることが分ったが、データにばらつきが大きく定量的な結果を得ることができなかった.
Al-Pd-Ru系の準結晶の単結晶を用いて、高輝度光科学研究センター(Spring-8)のビームラインを用いて、800℃までの高温散乱実験を行った.その結果、(1)500℃から600℃にかけて回折強度の減少の割合が非常に大きくなったこと、(2)その減少の程度は散乱ベクトルの直交補空間成分にあまり依存しないこと、(3)800℃から降温していったとき昇温曲線をそのままたどらずに、散乱強度の減少が降温がわにずれる温度ヒステリシスを描くこと等が明らかになった.この実験はさらに続ける予定である.
来年度は、実験室系での実験可能な、高温ステージを設計製作している。これによって時間的制約の少ない実験室での十分な予備実験が可能となる.

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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