• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

テンソル積型変分関数を用いた密度行列繰り込み群による高次元系の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13640383
研究機関神戸大学

研究代表者

西野 友年  神戸大学, 理学部, 助教授 (00241563)

キーワード変分法 / 密度行列 / テンソル積 / くりこみ群 / 転送行列 / 古典スピン系 / 量子スピン系 / フラストレーション
研究概要

本研究では、局所的な重率因子をテンソルで表現し、その2次元的な積を変分関数とする2次元量子系および3次元古典系の変分解析法を開発した。2次元量子系では、その代表例である正方格子ハイゼンベルグ模型に対して、16自由度の重率因子をチェスボード型に配した変分波動関数を用い、少ない自由度で基底エネルギーの上限値を精度良く変分評価できることがわかった。特に、XY異方性が強い場合に、近似精度が改善される。この現象は、今後解析手段により解明して行きたい。
3次元古典系では、その代表例である立方格子イジング模型に対して、162自由度の重率因子を隙間なく敷き詰めた変分関数を適用してみた。自由度が大きいので、この場合は自動的にテンソル要素を最適化する必要がある。試行錯誤の結果として、エネルギーの変分極小を正しく導く計算アルゴリズムの開発に成功し、相転移温度の精密評価が可能であることを実証した。
以上2つの例では、系が一様である場合のみの取り扱いであった。これは、数値計算の手段として「角転送行列繰り込み群」を用いていたからである。そこで新たに、秩序変数が空間変調を持つ場合をも取り扱うために「密度行列繰り込み群」をテンソル積型変分の中に取り入れ、古典競合相互作用系の代表であるANNNI模型に適用した。この系の解析は現在も進行中であるが、標準的な相図として従来用いられて来た「悪魔のバラ」的な構造には、平均場近似による「整合的変調秩序相の強い安定化」が含まれている可能性が洗い出されつつある。
これらの研究の副産物の一つとして、空間次元をひとつ下げた1+1次元対称/非対称確率的拡散系に対する光円錐内部での局所因子の足し上げに、角転送行列繰り込み群がそのまま応用できることが判明した。ただ、系の初期条件によっては、角転送行列繰り込み群で用いる密度行列が自明になり、繰り込み群変換に利用できない場合がある。この問題は、今後解決すべき研究課題の一つとしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Andreas Kemper: "Stochastic Light-Cone CTMRG"Journal of Physics A : Math. Gen.. 36. 29-41 (2003)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi