研究課題/領域番号 |
13640391
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中村 勝弘 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50140801)
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研究分担者 |
加藤 岳生 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80332956)
寺井 章 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20192651)
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キーワード | フラクタル / コンダクタンスゆらぎ / 半古典理論 / 非線形動力学 |
研究概要 |
開放系量子ドットの磁気コンダクタンスの振る舞いについて、磁場に関するフラクタル構造が数多く報告されている。しかし、その理論的な背景については長年明らかにされてこなかった。実験によると、このフラクタルなコンダクタンス揺らぎはユニバーサルで、リード線と量子ドットとの点接触部のサドル構造に起因しているとされている。 そこで、本研究では、サドルを持つユニバーサルな力学系であるヘノン=ハイレス系を理論的に解析した。その結果、系のエネルギー(フェルミエネルギー)がポテンシャルのサドルの値に近づくと、(1)カオスの海の中に互いに自己相似な周期軌道のfamilyが出現すること、(2)familyの構成員の面積は幾何級数をなしていることを見つけた。 次に、電気伝導率(久保公式)に対する半古典表示式に重要な寄与をする周期軌道として、上記の自己相似な構成員からなるfamilyを採用してみた。磁場の効果は摂動論的に取り扱い、周期軌道の面積との積の形で位相因子に入り込む。 周期軌道の和で表された電気伝導率(久保公式)の理論結果を見ると、位相が、幾何級数的に変化していくワイエルストラース型の関数形になっており、そのフラクタル次元は、実験結果を良く再現する。また、フラクタル次元は、familyの構成員の自己相似性のスケール因子を通じてポテンシヤルサドルの曲率と一対一に対応しており、これも実験結果と一致する。これらの結果をとりまとめて、Phys.Rev.Lett.およびJ.Phys.A.Lett.およびJPSJ.Lett.に投稿し、結果を待っている。
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