カオス的力で結合され多数のブラウン粒子からなる系が新しいタイプのニューラルネットワークとしての機能を持つことが示された。まずそのネットワークを2個結合しそれぞれに別のパターンを記憶させたときに相手のパターンを想起できるかを調べた。その結果ネットワーク間に適当な結合を仮定すると想起が可能であることを明らかにした。 次にこのニューラルネットワーク(ローカルネットワークと呼ぶ)を多数個結合することによって中間ネットワークを定義し、その中間ネットワークを多数個結合することによってグローバルなネットワークを定義する。この時に、ローカルなネットワークにあるパターンを系自身によって自律的に記憶させたときにグローバルなネットワークにどのようなパターンが出現するかを調べた。この系は複雑系での階層構造を調べる具体的なシステムの一つとして重要である。ニューロン間の結合を適当に決めると、系の共同現象と自己組織化によりグローバルなネットワークにローカルなパターンを用いてグローバルなパターンが出現することを明らかにした。これは複雑系での階層構造の解明に向けて重要な役割を果たすと思われる。
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