乳化重合を用いて、ベルーゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応の触媒Ru(bpy)_3^<2+>(ルテニウムビピリジン錯体)を共重合したミクロン径の微小ゲルを作製し、BZ反応液に浸すことによって自律機能を内在した微小ゲルを創製した。YAGレーザー(波長1064nm)を光源としたレーザーマニピュレーションによってBZ反応液中の活性化された微小ゲルを捕捉し、微小ゲルを要素とする集団の構築を試みた。YAGレーザーの光強度をある値以上にすると、約5μm径の球形の会合体が形成された。レーザー光照射を停止すると、この会合体は瞬時に消滅した。現在、レーザー照射条件を制御することによって、会合体形成過程におけるBZ反応と会合体の力学的変形の相互作用を調べている。 時間的な秩序化誘起の観点から、自律振動能を内在する微小ゲルの振動リズムを外部信号によって制御することを試みた。まず自励振動数ω_0を持つ微小ゲルに振動数ω_eの交流電場を印加したところ、ある値以上の電場で1:1の位相同期が起きた。その同期領域に関しての電場閾値-ω_e/ω_0のプロットは"アーノルドの舌"に類似の形を示した。一般的にノイズは、秩序を壊し信号検出を困難にするため、避けるべきものとして扱われてきた。最近、非線形・非平衡システムでは、逆に、閾値以下の信号検出(確率共鳴)やノイズ誘起転移など有用な外場として働くことが理論的に示された。この実験的検証を目的として、閾値以下の電場にノイズを重畳したところ、1:1の位相同期が誘起されることが見出された。その度合いはある適切なノイズ強度で最大値を示すことが分かった。これは、ノイズが外部強制同期能を高めることができることを示したものである。この新しい型の確率共鳴現象は、反応拡散系のオレゴネーターモデルを用いた数値シミュレーションによって再現された。
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