私上妻が2001年10月1日より新しい研究室の立ち上げを行うことになったため、本研究費は新しい研究テーマの執行に使うことになった。これは新しい研究室において、本予算のみでゼロから装置を立ち上げて原子波ファイバーを実現することは難しいと判断したことによる。この判断は功を奏し、わずか2年間の間に新しい研究テーマに関する非常に重要な成果をあげることができた。具体的には、光と原子との間で量子情報を自由にやりとりするための基礎研究を行った。その結果、(1)EITを用いない新しい超低速度光伝搬の理論的提案、(2)この理論に基づいた新しい手法による光凍結の実現、(3)原子系が持つ軌道角運動量の光へのコヒーレントな転写の実現、(4)超低速光パルス伝搬を利用したGiant非線形効果の理論的導出、(5)光凍結とACシュタルクシフトを利用した光軌道角運動量の操作の実現、(6)凍結再生後の光子統計が、バンチド光に対して保存されていることの評価、を行うことが出来た。
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