研究概要 |
既提出の研究実施計画に従い、以下のような研究実績をあげた。 1.くり込み群の方法の離散力学系への拡張(R.G.法の新展開)。 くり込み群の方法(R.G.法)を離散的ハミルトン・マップ系の長時間の振る舞いの研究に使えるように拡張・発展させた。特に、ハミルトン・マップのシンプレクティック構造が保持されるようなR.G.変換を求める一般的な「手続き」をシンプレクティック積分法を活用することにより確立することに成功した。この新開発の「手続き」を多自由度のハミルトン・マップ・チェーンに適用し、系の長時間の振る舞いを記述するシンプレクティック縮約マップを導出した。縮約マップを用いて、系の弱いカオスとしてホモクリニック多様体間の乱雑を移行現象を見い出し、これがベルヌーイ・シフトで表現できることを示した[論文、S.Goto et al.,2002]。 2.R.G.法の偏微分方程式系への応用として、一般の反応拡散系から種々の位相方程式をくり込み群方程式として系統的に導出した。特に、3次の空間微分を持つ新しい型の位相方程式を導出し、拡散不安定を抑制する新しい機構を見い出した[論文、Y.Masutomi et al.2002]。
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