本研究代表者と分担者が提案した可積分な非線形方程式IKKシステムの性質を詳しく議論した。 1).IKKシステムは二つのヒエラルキーを持つ系である。それぞれのヒエラルキーを構成する方程式間を関係付ける漸化式を見いだした。しかし、二つのヒエラルキーは、互いにこの漸化式では結びつけられないことが見いだされた。(Phys.Letters.A 286(2001)47-54) この論文をもとに二つのヒエラルキーの間の関係を議論する次の論文が生まれた。 2).1).の成果を基に二つのヒエラルキーを結びつける条件を求めた。その条件を満たす新たな可積分方程式を見いだした。(Reports on Mathematical Physics(2002))この方程式は、二つのヒエラルキーを融合させ大きな一つのヒエラルキーとした可積分系でその存在を示すことができた。しかし、その可積分方程式系がどのような構造を持ち、その解がどのような性質を持つかはこれからの課題である。 3).IKKシステムの既存の方程式は3次元空間内のループの運動を表すことが知られている。これまでの角運動量を持たない平面内の運動から角運動量を持って回転するループに拡張した厳密解を見いだし、その運動の詳細を議論した。(Nonlinear Evolution Equations and Dynamical Systems NEEDS'2001の国際会議および九州大学応用力学研究所で発表)
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