研究課題/領域番号 |
13640422
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
徐 培亮 京都大学, 防災研究所, 助手 (10293961)
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研究分担者 |
黒石 裕樹 国土地理院, 地理地殻活動研究センター, 主任研究官
福田 洋一 京都大学, 理学研究科, 助教授 (30133854)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
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キーワード | satellite gravity / ice sheet movement / global optimization / nonlinear inversion / Voronoi cells / GPS integer LS models |
研究概要 |
衛星(測地)データを用いて精密な重力場の計算を行うためには重力場復元の空間・時間分解能、衛星軌道の精密決定と新しい非線形インバージョンの手法は14年度の重要な課題として研究を行った。本研究の平成14年度の研究実績は以下の通りである:(i)シミュレーション手法のテストとして、同一軌道高度での複数の衛星によるデータサンプリングで重力場復元の空間・時間分解能がどのように改善されるか、また、時間変動する重力場としてECMWFの表面気圧データを用いたデータサンプリングとaliasingの関係について、ごく簡単なテストを実施し、シミュレーション手法の有効性を確認した。(ii)衛星重力データからの重力場の推定は、衛星重力データの利用を考える上で最も基本的な問題である。L-L SSTあるいはL-L SSIの精密測位データから地球の重力場を決める場合、(1)球面調和関数を決定する際の非線形性、ならびに、(2)観測方程式が非常に多くの未知数を有する、という2つの問題に直面する。この課題では、これらの問題について、具体的な重力場推定手法を開発することにあるが、本年度は、特に、非線インバージョン手法の開法に重点をおき研究を実施した。地球科学における非線形インバージョンの解法としてはsimulated annealing法と遺伝的アルゴリズムの2つがよく知られている。しかし、これらの手法が必ずしもグローバル・ミニマムな最的解を与える保障のないこともよく知られている。重力場の推定の場合、これは、得られた解が必ずしも最適な調和係数であるかどうかの保障がないことを意味する。このため、本研究では、従来の手法にとらわれず、全く新しい非線形インバージョン手法を開発することとした。新しく開発した手法は、局所的に最適解を求める解法と、グローバルな最適点を探す方法との2つの手法を組み合わせたものである。局所的な最適解法は十分に早く、グローバルな最適点の探査手法は最終的な解がグローバルミニマムとなることを保障している。本年度の研究では、この方法を用い、まず、1,750,000以上の局所ミニマムを有する一次元の問題でテストを実施し、十分に高速に最適解が得られることを確かめた。その後、多くのパラーメーターを有する地球科学のインバージョンの問題で、正しくグローバルミニマムが得られることも確認した。(iii)GPS精密な測位quality controlの為に、基本的な問題であるVoronoi cellsを完全に解決した。
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