13年度には、これまでの計算で内核/外核境界に微小な剛性率を持つ層を導入することで"soft core splitting"に対応する固有モードが、外核が流体の場合の固有モードに近接して現れることが分かっているので、まず伸び縮み振動の基本モード及び高次モードから、"anomalous splitting"が存在しないモードについて、これらのモードの固有周波数に影響を及ぼさず、また"soft core splitting"に対応する固有モードが現れずに存在できる層の厚さとS波速度の上限値を検討した。また、"anomalous splitting"が存在しているモードについて、同様にモデルパラメータを変えながら固有モードを計算し、"soft core splitting"を示すモード間の固有周波数の間隔を調べ、観測された"anomalous splitting"との比較を行った。この結果、層の厚さを約40km、S波速度を0.017km/secとしたときに、3S2に"soft core splitting"が現れるが、他のモードには現れないことが分かった。これは、内核/外核境界の構造に敏感な3S2のanomalous splittingは外核の底に微少なS波速度の層を導入することにより説明できる可能性があることを示している。さらに、内核/外核境界に導入した微小な剛性率を持つ層により"soft core splitting"を示すモードの、自転と楕円体の形状の効果によるスペクトルの分裂を計算し、微小な剛性率を持つ層のために分裂の幅が極端に大きくなるようなことが起きないことを確認した。
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