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2001 年度 実績報告書

磁気圏低緯度境界層を横切る大規模プラズマ輸送の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 13640446
研究機関東京工業大学

研究代表者

藤本 正樹  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30242811)

キーワード渦乱流 / 磁気圏尾部低緯度境界 / 速度勾配層 / ケルビン・ヘルムホルツ不安定 / 二流体シミュレーションモデル / 有限電子質量効果
研究概要

今年度はデータ解析と数値シミュレーションの両面から渦乱流による磁気圏尾部低緯度境界におけるプラズマ輸送の可能性について研究を進めた。ジオテイル衛星データによって磁気圏尾部で取得されたデータを渦乱流という視点から解析することにより、尾部真夜中以前の境界付近においては渦乱流と冷たいプラズマの存在とのあいだに相関が見られた一方、尾部真夜中以降の境界付近ではそのような相関が見られなかった。これは少なくとも真夜中以前では渦乱流が磁気圏尾部低緯度境界層を通してのプラズマ輸送になんらかの役割を果たしていることを示唆する一方で、もう片方の境界層においては渦乱流に必ずしも依らない輸送メカニズムがある可能性を示唆している。
尾部低緯度境界を速度勾配層と考え、そこでケルビン・ヘルムホルツ不安定によって渦が成長すればどうなるか、という問題設定で数値実験も行なった。ここで用いるモデルは、電子質量が0あるいは有限の二流体シミュレーションモデルであり、有限電子質量効果を採り入れたものは、今年度新たに開発に成功したものである。電子質量が0の場合、渦のふるまいは、従来よりよく知られている一流体MHDでの結果とほとんど同じものであった。具体的には、巻上がった渦が安定に存在するという状態が続くものである。しかし、有限電子質量効果を加えると、渦は巻上がりながら、その内側により小さい(1/4ほどの大きさ:この相対サイズは電子慣性の大きさの依存しない)を発生させる。その小渦は速く成長し、それにともなって外側に膨らみ、やがては元々の大渦を破壊する、という現象が発見された。またこのメカニズムも、双極点での電子慣性によって発生する短波長モードが渦の腕外側にできる二次的速度勾配層へと伝播して、二次的なKHを励起している、と考えられることもわかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] I.Shinohara, H.Suzuki, M.Fujimoto, M.Hoshino: "Rapid Large Scale Magnetic Field Dissipation in a Collisionless Current Sheet via Coupling Between Kelvin-Helmholtz and Lower Hybrid Drift Instabilities"Phys.Rev.Lett. 87. 95001 (2001)

  • [文献書誌] H.Suzuki, M.Fujimoto, I.Shinohara: "Current sheet kink instability at ion-electron hybrid scale"Adv.Space Res. (印刷中). (2001)

  • [文献書誌] K.H.Kim, et al., incl. M.Fujimoto: "Spacecraft potential variations inside the magnetopause during transient events : Geotail observations"J.Geophys.Res. (印刷中). (2001)

  • [文献書誌] M.Fujimoto, T.Mukai, S.Kokubun: "Cold-dense plasma sheet and hot-dense ions in the magneotail"Adv.Space Res. (印刷中). (2001)

  • [文献書誌] H.Stenuit, et al., incl. M.Fujimoto: "A study of ion injections at the dawn and dusk polar edges of the auroral oval"J.Geophys.Res. (印刷中). (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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