研究概要 |
サブストームにおけるX=-10Re付近の近尾部でのプラズマ過程を調べるために、1992-2000年のGEOTAILデータ(磁場、電場、プラズマモーメント)を宇宙科学研究所よりコピーし、約50GBの解析用データベースを作成した。このデータベースの中から、|X|が11Re以下,|Y|が5Re以下の位置で観測された、はっきりしたdipolarizationを21例選び、その詳細を調べた。この際GEOTAILの磁場データは、高時間分解能である16Hzサンプルのデータを用いた。また、地上の磁場チェーン(CANOPUS,WDC,GADC,MM210,IMAGE)やPOLAR UVI,GOES等のデータを用いて、サブストームとの関連をチェックした。これらのデータの解析から、以下のようなことが明らかになってきた。 1.磁場のdipolarizationは、数分〜10分程度継続する速い磁場変動をしばしば伴っている。 2.この磁場変動の振幅は、周囲の磁場強度が弱いほど(neutral sheetに近いほど)大きい。 3.この磁場変動は、サインカーブではなく、急激な増大や減少といったスパイク状の変動で形成され、スパイクの時間は数秒程度、振幅はしばしば10nTに達する。スパイクの起こる周期は5-20秒程度であった。 4.この磁場変動は、特に磁場の弱い領域で起きている場合、地球向きのconvective flowを伴っている。このflowの速度は300km/s以下であった。 5.1995年7月5日と1997年7月30日のイベントでは、プラズマデータから粒子圧を決定することができた。この2例では、速い磁場変動の前までは全圧力(磁気圧+粒子圧)はゆっくりと減少し、この磁場変動の最中と後(dipolarizationの最中と後)には、全圧力は増大していた。
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