研究概要 |
1.サブストームにおける近尾部でのプラズマ過程を調べるために、1992-2000年のGEOTAILデータから、|X|が11Re以下,|Y|が5Re以下の位置で観測されたはっきりしたdipolarizationを21例選び、その詳細を調べた。その結果、(1)磁場のdipolarizationは、数分〜10分程度継続する速い磁場変動をしばしば伴っていること、(2)この磁場変動は数秒程度の磁場の急激な増大や減少で形成され、振幅はしばしば10nTに達すること、(3)磁場のelevation angleが増大(dipolarization)する直前に、数秒-10秒程度の短い時間であるが、elevation angleが大きく減少する例が複数ある(explosive growth phase)こと、(4)この磁場変動は、特に磁場の弱い領域で起きている場合、地球向きのconvective flowを伴っていること、などがわかった。 2.特にこの中の1例に関して、64Hzサンプルの電場生データを詳しく解析した結果、周期が5Hz程度の特徴的な電場の振動が、1-5mV/mという大きな振幅をもって発生していることがわかった。この振動が、tail currentの流れを妨げて、観測されたような特徴的な磁場elevation angleの減少を引き起こした可能性があり、今後、粒子シミュレーションとの比較を行っていく予定である。 3.上記のデータ解析ではいくつかの観測事実を明らかにしたが、同時に、GEOTAILを含めたこれまでの人工衛星データでは、10Reよりも内側でサブストームに伴って起きている現象の成因について、決定的な結論を出すことは難しいことがわかった。このため、新たに10Reよりも内側の内部磁気圏を集中的に探査する人工衛星計画を提案し、その具体化について検討を重ねた。
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