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2002 年度 実績報告書

宇宙プラズマ中の粒子輪送:準線形理論を越えて

研究課題

研究課題/領域番号 13640452
研究機関九州大学

研究代表者

羽田 亨  九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (30218490)

キーワード粒子拡散 / 粒子加速 / 非線形波動 / 位相相関 / 超拡散・準拡散 / 準線形理論
研究概要

宇宙線などの高エネルギー粒子の磁気流体乱流(MHD乱流)による拡散・加熱・加速過程(輸送過程と総称)は、準線形理論の枠組みを用いて議論されることが多い。しかしMHD乱流のエネルギーが大きいこと、MHD乱流を形成するMHD波動間に位相の相関が存在し得ること、の2つの効果により、準線形理論とは本質的に異なる輸送過程が実現する可能性がある。この観点から、1・テスト粒子計算による大振幅MHD乱流中の高エネルギー粒子の輸送統計量の評価、2・MHD乱流による粒子輸送の数理モデル、3・MHD乱流中の位相相関の評価、について研究を行った。
1・テスト粒子計算による大振幅MHD乱流中の高エネルギー粒子の輸送統計量の評価:与えたMHD乱流中で多数のテスト荷電粒子の運動を数値的に時間積分し、その結果の詳細な統計解析を行った。荷電粒子のピッチ角拡散、エネルギー拡散、磁場に平行方向の空間拡散、磁場に垂直方向の空間拡散の4つの課題について議論した。規格化された磁場振幅が0.1程度の比較的小振幅のMHD乱流であっても、拡散過程は準線形モデルによる記述とはかなり異なること(90度を越えるピッチ角散乱など)、また波動の位相相関の効果が顕著であること、などを見出した。拡散係数がスケール依存性を持つレビ統計による記述を行った。
2・MHD乱流による粒子輸送の数理モデル:MHD乱流場をエネルギーがベキ乗則に従う多スケールの「渦」の集合として表現し、粒子の渦による捕捉および乗り換えの考え方を取り入れたモデルを考察した。上のいくつかの拡散過程についてのテスト粒子計算の結果を、このモデルがうまく表現できることを示した。
3・MHD乱流中の位相相関の評価:準線形理論の重要な仮定の一つは波動の位相相関がランダムであることである。MHD乱流を構成する波動の位相相関を定量的に評価する方法を開発し、人工衛星磁場データおよび数値シミュレーションによるデータに適用した。位相相関は実際に存在し、孤立波の生成と深く関わることを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] F.Otuka, T.Hada: "Cross Field diffusion of cosmic rays in a two-dimensional magnetic field turbulence"Space Sci. Rev.. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Tsurutani B.T. et al.: "Particle transport in He^3 rich events"Annales Geophysicae. 20・4. 427-444 (2002)

  • [文献書誌] 蔵満康浩, 羽田 亨: "MHDパルスと荷電粒子の非線形相互作用"総理工報告. 23・1. 43-52 (2001)

  • [文献書誌] Hada, T, D.Koga, E.Yamamoto: "Phase coherence of MHD waves in the solar wind"Space Sci. Rev.. (in press). (2003)

  • [文献書誌] D.Koga, T.Hada: "Phase coherence of foreshock MHD waves : wavelet analysis"Space Sci. Rev.. (in press). (2003)

  • [文献書誌] T.Hada, E.Yamamoto, D.Koga: "Phase coherence of large amplitude MHD waves in the earth's foreshock region : Geotail observations"Proc. Int. Conf. Plasma Phys. 2002. (in press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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