研究概要 |
福井県北部に位置する福武低地は,東側を加賀越前山地・越前中央山地,西側を丹生山地,北側を加越台地,南側を南条山地によって区切られた低平な沖積平野であり,その形成過程においては断層活動をはじめとする様々な構造運動が大きく関与していると考えられる.そこで平成14年度においては.福井平野の微地形計測を行うと共に,武生盆地の段丘調査,地形調査,若狭湾東部の17世紀における地殻変動の調査を行った. 1.福井平野の微地形計測に於いては,福井地震断層,福井東側地震断層沿いに於いて,これまでの調査により地形に断層変位地形があると推定される地点に於いて,地形の測量を行った.その結果,低角逆断層で認められるものと同様の撓曲変形が認められ,断層が地表に現われる地点はこれまで推定されるより0.5〜1km西側であることが推定された. 2.武生盆地ではその中央に位置している鯖江台地がその東縁の鯖江断層の活動により,隆起・西へ傾動することにより形成されたこと,鯖江断層は現在推定されているより長く,武生盆地南縁まで延びていること,テフラの同定により約2.5万年前頃より東側から離水して鯖江台地が形成されたこと,少なくとも5万年前以前より,鯖江断層の活動により隆起傾向にあったこと,また鯖江断層の活動度はA級の可能性が高いこと等が明らかとなった. 3.若狭湾東部の三方五湖から敦賀半島西側にかけて,および越前岬を中心とした越前海岸では17世紀の中頃,断層活動によって隆起していることが明らかになづている。その中間に位置している敦賀半島では今回の調査により先端部で2〜4m,基部で1〜2mの最近の隆起が認められ,越前岬周辺や三方五湖周辺と同時期に隆起した可能性が高いことが明らかになった. 以上のように,福井平野周辺地域ではこれまで考えられていた以上に断層活動が活発である可能性が高くなった.
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