研究概要 |
平成13年度には,主として,砕屑性石灰岩など浅海起源の砕屑性粒子を含む層を挟むチャートの露頭の探索を行った.具体的には,美濃帯(岐阜県郡上郡八幡町,同県本巣郡根尾村,同県大野郡丹生川村,同県養老郡養老町,愛知県犬山市)を主体とし,同じジュラ紀付加体である足尾帯(栃木県宇都宮市周辺)などで野外調査を行った.石灰岩が砕屑性であるかどうかは,野外における産状と鏡下における微細構造の観察により判断した.また,石灰岩の上下のチャートから放散虫・コノドントなどの微化石を抽出することにより,石灰岩の堆積年代を決定した.その結果,以下のような事実が明らかとなった. 1.郡上八幡地域,根尾地域には,砕屑性石灰岩およびドロストーンを挟むチャートがしばしば分布する.チャートに含まれる放散虫の保存状態が悪く,その年代を正確に決定することは困難な場合が多いが,その多くはペルム紀である.また,同地域には遠洋性石灰岩を挟む三畳紀のチャートも分布する. 2.犬山地域には,ドロストーンを挟む前期三畳紀の砥石型珪質粘土岩が分布する.ドロストーンの成因については不明な点が多いが,堆積構造などからみて砕屑性の可能性がある. 3.足尾帯の前期三畳紀の砥石型珪質粘土岩には,犬山地域と同様なドロストーンが挟まれる.また,その直上には玄武岩質火砕岩が整合的に堆積している.このような事実は,これまであまり知られていない三畳紀の海洋における玄武岩質火山活動を示唆し,砕屑性石灰岩の供給メカニズムとの関連が考えられる.
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