研究概要 |
本研究においては,pptないしそれ以下の極微量のレニウム・オスミウムの分析方法の検討が中心となっている.先ず化学操作過程におけるブランクの低減方法の検討を行った.試薬の精製は主として蒸留により行ったが,繰り返し行うごとによりブランクはレニウムで3ピコグラム,オスミウムで0.02ピコグラムまで低減できた.しかし,レニウムフィラメントからのレニウムの寄与が高く最後まで問題として残った.いくつかのフィラメントを試したし,白金以外の材質も試みたが今のところ改善できていない.しかし,初期の段階で用いたPtフィラメントはかなり良好であったので,今後お金をかけて良質のフィラメントを得る努力をすれば改善される可能性はある.フィラメントのレニウムが高いとオスミウムのフィラメントブランクが低くても,レニウム酸化物のピークが妨害してオスミウム同位体比を精度よく測定することが難しくなる.レニウム・オスミウム法の最大の課題はこの点であり,電気化学的に白金を精製して用いる方法を考え次年度の科研費を申請中である.この点の改良なくしてレニウム・オスミウム法の発展はありえないと考えられる.本研究においては,また,質量分析計の改良とコンピュータソフトの改良を行った. ある程度濃度が高い場合は,特に初期の段階では良好な結果が得られ硫化鉱物に適用し論文として発表した.特に,黒鉱鉱床について行った,第一番目の論文は,高い評価を得ることが出来,これにより日本地質学会小藤賞を授与された.いくつかの堆積岩や,現世の堆積物について測定を試みた.重要な点は,泥質堆積岩にレニウムがppbレベルで濃縮しているものがあり,また,オスミウム同位体比が0.15程度に低いことであり,堆積岩の無代測定に本方法が向いていることであり今後の発展が大いに期待できる.
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