初年度は、鳥取県西部地震の震源域近辺の3つのアルカリ玄武岩岩体(鮮新世末〜更新世前期)内部の構造と基盤岩類中の断裂系について調査を行った.調査の過程で、震源から北東約10kmの地点でアルカリ玄武岩類を切っており、鳥取県西部地震の余震域とほぼ平行している断層が道路工事現場で新たに見つかった.断層露頭は数ヶ月以内に厚層基材で覆う計画のため、この断層についての調査を優先的に行った.断裂と岩脈の調査結果、震源域周辺においては北東-南西方向の岩脈と節理が卓越するといわれていたが、節理系においては東西性、北北西-南南東および南北性の断裂が発達し、その頻度も地域によって異なる.玄武岩岩体を構成する玄武岩の噴出源の配列などが示す断裂には東西性、北北西-南南東、北東-南西の系列がみられる.しかし、玄武岩岩体を切っている断層は、鳥取県西部地震の余震域とほぼ平行する南北性ないし北北西-南南東の走向を示している. 震源から北西に約3km離れた面積2km×2.5km程度の範囲には、不規則な形態を示したり、水平に近い角度で貫入している岩脈が多く発達し、熱水変質を示す岩脈もみられるが、その外側では通常の岩脈のみが分布する.すなわち、この地域は小規模な陥没を起こした可能性があると考えられるため、この地城については、来年度も精査する. 新たに見つかった断層はDMP(約12万年前)を切っており、垂直変位の累積が認められることから活断層と判断される.その上盤側と下盤側の堆積物の層序と層厚が著しく異なるので、この断層は横ずれ断層と判断されるが、その変位の方向と量については不明である.この活断層については現在投稿準備中である.
|