研究課題/領域番号 |
13640462
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福地 龍郎 山口大学, 理学部, 助教授 (90212183)
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研究分担者 |
伊藤 泰男 東京大学, 原子力研究総合センター, 教授 (40011150)
今井 登 産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門, 研究グループ長 (20356512)
鎌田 祥仁 山口大学, 理学部, 助手 (30294622)
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キーワード | ESR / OSL / 断層 / 摩擦熱 / 断層ガウジ / シュードタキライト / フェリ磁性 / FMR |
研究概要 |
1995年兵庫県南部地震を引き起こした野島断層沿いで発見されたシュードタキライトのESR(電子スピン共鳴)測定を行い、凝集状態の3価鉄イオンから成るフェリ磁性体(γ-Fe_2O_3)の強磁性共鳴(FMR)信号が断層摩擦熱による加熱脱水で生成することを発見した。摩擦発熱の一次元熱伝導方程式とFMR信号強度の加熱による変化式を利用して、地震性断層すべりによる断層ガウジの磁化過程を再現した結果、野島断層と同じ規模の活断層が活動した場合には、地球磁場の下における断層ガウジの磁化強度は最大約10〜20nTと見積もられ、断層ガウジの瞬間的磁化に伴う電磁誘導により最大約120mV/km^2の誘導電圧が発生する可能性が示された。一方、リング式高速剪断摩擦試験機を用いて野島断層ガウジの磁化の再現実験を行い、高速剪断実験後に変色したガウジ試料を変位量及び変位速度で4つの部分に細分してESR及び磁化曲線の測定を行った結果、等価変位速度と変位量が最も大きい黒色化したガウジの部分では、野島シュードタキライトと同程度までFMR信号及び初期磁化率が増大し、変位量及び変位速度が小さくなるに従ってFMR信号強度及び保磁力が減少して行くことを確認することができた。断層ガウジの黒色化とFMR信号の増大は、野島断層500m及び1800m深部掘削コアでも確認できており、断層摩擦発熱の重要な指標になると考えられる。一方、野島断層ガウジ及びシュードタキライトの紫外線照射による発生する光励起ルミネッセンス(OSL)を測定した結果、断層ガウジから検出される青色及び赤色ルミネッセンスがシュードタキライトからは検出されないことが新たに判明しており、今後、摩擦発熱の検出に応用できる可能性が示唆される。以上の研究成果の部は、国際誌(Journal of Geophysical Research,2003,印刷中)等に発表した。
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