『琵琶湖西岸の比良川ファンデルタにおける土砂輸送と堆積作用』の研究について、平成14年度に行った調査および結果の概要は以下の通りである. 琵琶湖西岸の比良川を中心とする地域には、比良山系山麓に多数の扇状地が発達し、さらにそれらが直接湖水にデルタとして浸水して、いわゆる臨湖扇状地群を形成している.平成13年度における調査・研究では、当該地域に5つの臨湖扇状地を認め、その陸上部に相当する扇状地がいづれも上部扇状地と下部扇状地から構成されることを明かにした。またその水中延長部であるデルタ科面の堆積物が急峻な斜面を形成しながら沖合い向けて急速にその粒度を減じて堆積していることを明かとした。14年度の研究ではファンデルタの陸上部、水中部でそれぞれ以下の調査を行った。 【陸上部】13年度に予察的に明かとなった上部扇状地と下部扇状地の分布をより詳細に踏査し把握した。とくに下部扇状地に特徴的なローブ状の堆積体の分布および新旧関係の掌握をおこなった。 【水中部】平成13年度の調査では湖岸から沖合い方向での堆積物の変化を明らかにしたが、14年度は湖岸に平行する方向での堆積物変化の把握を行った。とくに下部扇状地に発達するローブとローブが発達しないローブ間低地のそれぞれ水中延長部の堆積物の対応関係を検討した。とくにもっとも2次移動の少ない礫質の堆積物の粒度分布調査を、湖岸に平行する方向でおこないローブの配置との関連を明らかにした。
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