研究概要 |
神奈川県の上総層群小柴層(更新統)の湧水性化学合成群集化石を産する産地周辺のボーリング調査と詳細な地質調査を行った.また,産出するコンクリーションの炭素と酸素の安定同位体比を測定した.今年度明らかとなったのは,以下の点である. 上記経費で実施したボーリング調査(Kitazaki and Majima,2003)は,以下の結果を示した. (1)化学合成群集とそれに伴う炭酸塩コンクリーションが層理面に垂直に110mに渡って産出した.凝灰岩のFT年代とナノ化石層序(藤岡ほか,2003)から,湧水は極めて狭い範囲(直径が数10m)で少なくとも38万年間以上継続していたことが判明した. (2)化学合成細菌と共生する大型二枚貝化石の密集度とメタン湧水の証拠となる^<13>Cに枯渇した炭酸塩コンクリーション(δ^<13>C=-40〜-60‰)の密度はコア中で大きく変化し,両者の密度の大きい層準が6ヵ所認められた.これを有孔虫の酸素同位体比曲線(氷河性海水準変動曲線)と比較すると,湧水の消長と酸素同位体比曲線のパターンはほぼ同期していることが判明した. 2003年11月に米国シアトルで開催されたGSA (Geological Society of America)の総会において,上記成果につき2件の発表を行った. (1)Majima, R., Nobuhara, T., and Kitazaki, T., A review of fossil chemoautotrophic assemblages in Japan, Geological Society of America, Annual Meeting and Exposition at Seattle, USA,2003.11 (2)Kitazaki, T. and Majima, R., A slope to outer-shelf cold-seep assemblage in the Plioc-Plesitocene Kazusa Group, Pacific side of central Japan. Geological Society of America, Annual Meeting and Exposition at Seattle, USA,2003.11
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