研究概要 |
本課題研究では,三畳紀/ジュラ紀(T/J)境界を放散虫微化石層序で決定するためのグローバルスタンダードの構築を目的に,総合研究をおこなった.以下にその結果をまとめる. 1)従来明確に識別できなかったジュラ紀最前期Hettangianの指標種として,Pantanellium tanuenseが最適であることが判明した.また,Archaeocenosphaera laseekensis, Praehexasaturnalis tetraradiatusもよい指標種になりえる. 2)三畳紀末の指標としては,Globolaxtorum tozeriおよびHagiastrid? gen. et sp. indet Aの消滅が指標になることが判明した.また,Risella属の絶滅もよい指標となる. 3)ほとんどの種が絶滅するT/J境界をこえて産出する化石種Spongotrochus sp. (Carter 1994), Canoptum spp.を確認した.Canoptum属は,現生放散虫の観察と形態解析に基づいて、食性の違いによって絶滅に対する耐性を獲得した可能性が示唆される. 4)上記特徴種を含む放散虫フォーナの消滅・出現は,日本(犬山地域)およびカナダ(クイーンシャーロット諸島)において,優先種や含有量の違いがあるにもかかわらず,同様のパターンを示す.その変化パターンは,3段階にわけられることが判明した. 5)日本,フィリピン,ニュージーランド,カナダの4地域の比較検討によって,フィリピンの放散虫フォーナは日本のT/J境界フォーナと類似し,ニュージーランドのフォーナは,カナダのフォーナと類似していることが判明した.
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