1.ベネタイテス目に属するとされている植物は、その外形から多くの属に分類されている。東アジア地域において、これらの植物は手取型植物群(年間通して温暖湿潤な気侯条件下で生育)および領石型植物群(年間に乾燥のある熱〜亜熱帯気候条件下で生育)どちらにも生育していた。ただし、それらの表皮構造にはその生育地域の気候の影響が見られる(領石型植物群から産するものは手取型植物群から産するものより葉が肉厚で、表面のクチクラ層が発達している)。また外形も異なり、両植物群から同種に分類されているベネタイテス目に属する植物の産出は報告されていない。したがって、ベネタイテス目の起源は両植物群の確立以前(ジュラ紀前期以前)と考えられるため、ジュラ紀以前のベネタイテス目についての資料・標本の収集を行った。 2.ベネタイテス目は古生代末の地層からの産出が知られているが、本格的な出現は中生代三畳紀中期で、白亜紀末には衰退し、絶滅している。これは、恐竜類の起源および絶滅の時期とほぼ一致する。ベネタイテス目植物の葉の細胞組織およびその構造は、肉厚で葉脈が細く、細胞壁の極度な肥厚や細胞内での化学物質の結晶のような特殊な構造は見られない。また繁殖器官は多数の小さな種子が密生したかなり大きなものが知られており、植物食恐竜の主餌として適した構造および栄養価をもっていたものと推測できる。 3.ベネタイテス目の衰退・絶滅と被子植物の出現・発展の時期がほぼ一致することから、恐竜類の中から鳥類へ進化発展したものがいたのと同様に、ベネタイテス目の中から被子植物へと姿を変えていったものが現れたと考えられなくもなしい。
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