ベネタイテス植物に属するとされている植物は、その外形により多くの属に分類されている。東アジア地域においてこれらの植物は手取型植物群(年間通して温暖湿潤な気候条件のもとで生育)および領石型植物群(年間に乾季のある熱〜亜熱帯気候条件のもとで生育)のどちらにも生育していた。ただしそれらの表皮構造にはその生育地域の環境の影響が見られる。また、その外形も異なり、両植物群から同種に分類されるベネタイテス目に属する植物が産することは報告されていない。したがってベネタイテス目の起源は両植物群の確立以前(ジュラ紀前期以前)と考えられるため、ジュラ紀以前のベネタイテス目植物についての資料・標本の収集を行った。 現生の植物はその繁殖(生殖)器官の構造により分類されている。化石植物においても同様であるが、残念ながら植物化石は断片的であり、植物体すべての部位がそろって産する例はきわめて稀である。そのため残されているわずかな繁殖(生殖)器官の情報から判断せざるを得ない。その結果、ベネタイテス目に属する植物の繁殖(生殖)器官の特徴が古生代〜中生代初期に繁栄したシダ種子植物の一部(比較的原始的と考えられているグループ)のそれに類似していることが見出された。このことは、ベネタイテス目植物とシダ種子植物が共通の祖先を持つ可能性を示唆している。しかし、現生の植物の中にベネタイテス植物との類縁関係を示すような繁殖(生殖)器官の特徴を持つものはいまだ見つかっていない。 初期の被子植物はユーラシア東部地域では白亜紀前期に出現が報告されている。ベネタイテス植物と被子植物との直接の関係は現在のところまだ見出されていないが、きわめて原始的なベネタイテス植物の中から被子植物の祖先となる植物が生まれてきたことは十分考えられる。
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