研究概要 |
モンゴル共和国チョイル盆地、中国遼寧省、吉林省および河北省に分布する中生界から産した大型植物化石について検討を行った。 まず文献データにもとづく基礎調査の結果,当時の植物分布は現在同様グラジュアルに変化することがわかり,特定の境界線により植生帯を区分することが困難であることが明らかになった。 モンゴル共和国チョイル盆地産の白亜紀植物化石からは、地域的な植生復元を行った。花粉化石と大型化石のデータをつきあわせて分析した結果、水辺にはウラジロ科を中心としたシダ類、トクサ類、ヒカゲノカズラ類などの湿地性の植物が繁茂していたが、後背地にはマツ科やケイロレピス科などの針葉樹やソテツ類、エフェドラ類などが繁茂し、やや乾燥した地域に適応した植物群が存在していたことが示された。この結果、この地域の環境がやや乾燥していたことが明らかになった。 中国遼寧省からはソテツとメデュロサ目(絶滅目)の中間的な形質を有する植物化石を発見、記載した。その内部構造は,シダ的な中心柱から裸子植物にみられる中心柱への移行段階を示していた。さらに,葉柄の維管束配列なども現在までに知られているいかなる目のものとも異なることが明らかになった。また,同地域からはマツ科に属する球果化石が大量に得られ、昨年の研究結果を一部改訂する事ができた。マツ科化石は少なくとも2種からなり、そのうちの1種は分岐分析ソフトPAUPによる解析の結果、マツ科球果化石の示す分岐図が、化石の産出地点とよい相関をしめすことが明らかになった。 河北省からはゼンマイ科の絶滅属,Ashicaulisの根茎が採集され記載した。
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