研究概要 |
マントル内410km及び660km地震波不連続面はそれぞれ、(Mg,Fe)_2SiO_4、オリビンから変型スピネル、(Mg,Fe)_2SiO_4スピネルから(Mg,Fe)SiO_3ペロフスカイトと(Mg,Fe)Oへの相変化によると考えられている。平成13年度は、分子動力学(MD)法を用いた計算機シミュレーションにより、上記相変化に伴う密度、及びP及びS地震波速度変化を両不連続面を想定した高温高圧下で求め、得られた結果を、不連続面についての地震波観測データと詳細に比較した。 結晶のポテンシャルエネルギーを、クーロン項、ファンデァワールス引力項、反発項から成る二体間相互作用の和で表した。加えて、酸素イオンについては、結晶内における多体相互作用を取り扱うべくbreathing shell modelを適用した。 410km及び660km不連続面の両者共、(Mg,Fe)_2SiO_4の割合が50〜60vol%の場合は、密度及びP及びS地震波速度変化の全てにおいて、MDによる計算値は、地震波観測モデルSF99と誤差1σの範囲内で一致した。しかしながら、pyroliteあるいはpiclogite組成の如何にかかわらず、410km及び660km連続面の両者とも、MDによる密度変化の計算結果は、地震波モデルPREMあるいはak135による値に比べてかなり小さいことが明らかになった。 これらの計算機シミュレーションによる研究に加えて、シミュレーション結果を実測値と比較するために、ダイアモンドアンビルセルを用いた高圧実験を行った。
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