研究概要 |
ランタン石型結晶構造を持つネオジム炭酸塩八水和物を出発原料とし、種々の濃度の重炭酸ナトリウム水溶液水酸化ナトリウム水溶液中で、テフロン反応溶液中を用いて水熱反応実験を行った。反応温度は、前年度の200℃に加え、より高い250℃、逆に低い150,100および80℃とした。反応時間も5分間から7日間に幅をもたせ、反応過程を追跡した。得られた生成物は粉末X線回折法により同定した。その結果、反応開始30分以内に出発原料は変化を開始し、一旦、水和度の低いネオジム炭酸塩に変わる。その後、弘三石型化合物へと変化し、さらにバストネン石型化合物へと移行することが突き止められた。一連の合成実験は、反応温度が高いほど、またアルカリ濃度が高いほど、弘三石型化合物よりもバストネン石型化合物が卓越する結果を示し、弘三石型化合物はより低温で、水酸バストネン石型化合物はより高温で、それぞれ生成しやすい傾向を示すことが判った。このため、弘三石の生成条件は当初の予想よりもかなり低い温度であったこと結論づけられる。以上の結果を、9月の第18回国際鉱物学連合総会(エジンバラ市)で、"An experimental verification of alteration of lanthanite-(Nd) into kozoite-(Nd)"という題目で発表した。
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