希土類元素とカルシウムの含水炭酸塩の結晶化学

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13640488
• 研究機関: 独立行政法人国立科学博物館
• 研究代表者: 宮脇 律郎 国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (80290865)
• キーワード: 希土類元素 / 含水炭酸塩 / 希土類鉱物 / 結晶化学 / 弘三石 / 木村石

研究概要

kozoite型構造を持つ化合物を一連の希土類元素を個別に用いて系統的に合成してみると、ネオジムからガドリニウムにかけてのイオン半径を持つ希土類元素では、kozoite型化合物が生成し、それよりもイオン半径の小さいジスプロシウムからエルビウムにかけては希土類元素の配位数が1つ増えた9配位となるkozoite類似構造を持つ化合物ができた。これらの範囲外では、イオン半径の大きい側では、hydroxylbastnasite型化合物が、イオン半径の小さい側では正方晶系のYb(CO_3)(OH)が生成するとこも判ってきた。一方、kozoite-(Nd)と同じ産地から、ランタンがネオジムを卓越するkozoite-(La)を発見し、kozoite型構造は合成実験で示された結果よりも大きな希土類元素側へ拡大されることを見いだした。また、kozoite-(Nd)の記載で報告した、lanthanite-(Nd)が変質してkozoite-(Nd)が二次的に生成する自然現象を、lanthanite型化合物の温水との反応でkozoite型化合物ができることにより、実験的に証明した。
一方、二次元検出器の回折計で反射強度を測定し、kimuraite-(Y)とlokkaite-(Y)の単結晶構造解析を進めた。その結果、これらの鉱物では希土類元素とカルシウムはそれぞれ別な結晶学的席を占め、相互に同形置換して固溶体を形成しているのではないことが確認できた。

研究成果

• [文献書誌] R.Miyawaki, S.Matsubara, K.Yokoyama, S.Iwano, K.Hamasaki, I.Yukinori: "Kozoite-(La),La(CO_3)(OH), a new mineral from Mitsukoshi, Hizen-cho, Saga Prefecture, Japan"J.Mineral.Petrol.Sci.. 98. 137-141 (2003)
• [文献書誌] S.Matsubara, R.Miyawaki, M.Kurosawa, Y.Suzuki: "Watatsumiite, KNa_2LiMn_2V_2Si_8O_<24>, a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan"J.Mineral.Petrol.Sci.. 98. 142-150 (2003)
• [文献書誌] H.Konishi, T.L.Groy, I.Dodony, R.Miyawaki, S.Matsubara, P.R.Buseck: "Crystal structure of protoanthophyllite : A new mineral from the Takase ultramafic complex, Japan"American Mineralogist. 88. 1718-1723 (2003)