研究課題/領域番号 |
13640501
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小倉 尚志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70183770)
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研究分担者 |
黒岩 繁樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (90313212)
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キーワード | チトクロムC酸化酵素 / プロトンポンプ / 生体エネルギー交換 / 酸素活性化 / ミトコンドリア / 共鳴ラマン |
研究概要 |
新鮮なウシ心筋からミトコンドリア(Mt)を単離した.本研究では呼吸調節率が3以上の分画を無傷Mtと定義し、ラマンスペクトルの測定に用いた.研究期間途中よりウシ海綿状脳症の全頭検査の影響で摘出翌日の心臓しか入手できなくなり、無傷Mtが調製できなくなった.そこで材料を摘出当日に入手可能なブタ心筋に切り替えた.ウシの場合と比べ、単位心筋重量当たり約10倍の無傷Mtが得られた. 共鳴ラマン散乱は427nmの単色光で励起した.還元型MtをCO雰囲気におくと新たに517cm^<-1>のラマン線が現れ、^<13>C^<18>Oに対しては14cm^<-1>低波数シフトして503cm^<-1>に現れた.Mt中でCOを結合する。のはCcOのFca_3だけであることが知られているので、517cm^<-1>のラマン線はFe-CO伸縮振動に帰属できる.このほかにCO同位体シフトを示す576、369cm^<-1>のラマン線はFeCO変角振動に帰属できる.これらの振動数は単離した酵素とほぼ同じであり、膜中にある酵素と可溶化酵素で酸素還元部位の環境はほとんど変わらないことが明らかになった. 次に酸素との反応の時間分解共鳴ラマン分光法による追跡を試みた.反応開始後1ms程度のとき、^<16>O_2で571cm^<-1>、^<18>O_2、で544cm^<-1>に現れるラマン線を見出した.これは酸素化型反応中間体のFe-O_2伸縮振動に帰属できる.振動数は可溶化酵素のものと同じであった.無傷Mtでは膜電位などの変化に伴って反応中間体の寿命が変化することが考えられる.それを明らかにする。ことが次の課題である.
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