研究概要 |
本研究では、キャビティーリングダウンレーザー吸収分光法(CRDS法)によりベンジルラジカル、フェノキシラジカルを検出し、分光学的データを得ることを試みた。CRDSは吸収法であるため、レーザー誘起蛍光法等では不可能な非発光種の検出に有用であると考えられる。また、有効光路長が通常の吸収法より長いため(約10km)、高感度である。フェノキシラジカルラジカルの第3励起状態への電子遷移(^2B_1←^2B_1)に帰属される紫外可視吸収スペクトル(360-410nm)の測定を行った。吸収スペクトル測定時には、真空にした共振器内に数mTorrの前駆体試料を導入しバッファガスで数十Torrとし、ArFエキシマレーザー(波長193nm、約5mJ/cm^2)を照射して光分解する。このとき生じるラジカル種の吸収スペクトルを検出レーザー光の波長を走査することにより測定した。得られた吸収スペクトルは、従来報告されているものより高分解能で測定されており、新たな振電バンドが観測されている。ラジカルの減衰挙動を観測し、速度論的シミュレーションから394.4nmにおけるフェノキシラジカルの吸収断面積は(7±2)x10^<-18>cm^2 moleculesと見積もられた。量子化学計算を行うことにより、吸収特性の検討を行った。 ベンジルラジカルについては、第1,2励起状態への電子遷移に帰属される可視吸収スペクトルを観測し、吸収断面積の算出を行った。
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