研究課題/領域番号 |
13640511
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤村 陽 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222266)
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研究分担者 |
梶本 興亜 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30029483)
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キーワード | 気相素反応 / 反応動力学 / 酸素原子 / 亜酸化窒素分子 / 一酸化窒素分子 / 振動回転分布 / レーザー分光 |
研究概要 |
励起酸素原子O(^1D)と炭化水素、水、オゾン、窒素酸化物などとの反応は、燃焼化学ならびに大気化学において重要な役割を果たす自然界でごく一般的な反応であるとともに、3〜5原子程度からなる基本的な系として、その動力学を様々な観点から解明することは気相反応を第一原理から理解していくために欠かせない。本研究ではこれらの反応のうち、O(^1D)と亜酸化窒素N_2O分子との反応に焦点を当てた。 反応O(^1D)+ N_2Oによる生成物はNO+NOとN_2+O_2の2つの経路があり、NO+NOの経路のほうがやや優勢で、この経路は成層圏のNOの主要な生成源となっている。この反応は、一般的に発熱反応が多いO(^1D)の反応のうちでも発熱量が大きい一方で、反応中間体は生成物に対して僅かしかエネルギー的に安定でない。それにもかかわらず、生成物のNOが多くの振動回転準位に比較的統計的な分布に近いかたちで生成することが解明すべき点として残されている。 本年度は、これまで統計的に近い分布であるとされてきたNOの回転分布の測定に主眼を置いた。統計的に近いといっても、この反応の発熱量が非常に大きいため、振動準位v=0の回転分布は回転量子数にしてj=150近くまで分布しうる。ところが、これまで実際に分布が把握されていたのはj【approximately equal】50程度までであった。これは、NOの振動回転分布を決めるためのNOのスペクトルが単純な領域に測定がとどまっていたためである。本研究では、多くの電子振動回転遷移が重複する非常に複雑なスペクトルを測定し、それを解析した結果、v=0のNOの回転分布がj【approximately equal】80-90で急激に減衰することがわかった。現在、その動力学的な意味を考察しているところである。 本補助金によって、試料やレーザー色素など実験に必要な消耗品を不足なく購入することができた。
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