研究概要 |
平成13年度に本申請の科学研究費補助金により、申請者が開発した電荷逆転質量分析法の研究を行うことができる日本原子力研究所に設置されているMS/MS質量分析計を大阪府立大学に移設し、質量分析計としての必要な性能を有していることを確認した。次に、アルカリ金属を導入できる衝突室を取り付け、Rbターゲットを用いて電荷逆転質量分析法の実験に成功した。 平成14年度は、反応機構を明確にするため、部分重水素化アルデヒドを用いた種々なターゲットでの電荷逆転質量分析法の実験を行った。この実験により、メチル基からの水素原子脱離がアルデヒド基からの脱離に優先すること、同位体効果により水素原子の脱離が重水素の脱離より優先することが明らかになった。また、反応中間体であるC_3H_3についての情報を得るため、アレン、プロピン、3ブロモプロピン、シクロプロパンから生成するC_3H_3^+用いた電荷逆転質量分析スペクトルを測定した、スペクトルの強度比と運動エネルギー放出の値から、シクロプロパンからは最も安定な環状のC_3H_3^+イオンが生成するが、アレン、プロピン、3ブロモプロピン、からは直線構造のC_3H_3^+イオンが生成し、しかも2種類の構造がありえることも明確にした。 平成15年度は、電子イオン化以外のイオン化法、例えば化学イオン化法、Liquid-SIMS法を用いてプロトン付加分子イオンの電荷逆転質量分析法の実験を行った。クロロフェノールのプロトン付加位置が水酸基では無くベンゼン環であることを明確にした。また、この年度の科学研究費補助金によりScotland,で開催された16^<th>IMSCで発表を行った。VinylideneとAcetyleneの解離機構の相違をPCCPに掲載した。また、電荷逆転質量分析法のReviewを依頼され、JMSのSpecial Feature ; Perspectiveに発表した。
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