• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

蛋白質ナノスペースにおいて超高速・高効率光反応が特異的に起こるのは何故か

研究課題

研究課題/領域番号 13640519
研究機関(財)レーザー技術総合研究所

研究代表者

又賀 昇  (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, チームリーダー (30029368)

研究分担者 今元 泰  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創生科学研究科, 助教授 (80263200)
柴田 穣  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20300832)
CHOSROWJAN Haik  (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (70291036)
田中 文夫  三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20022907)
七田 芳則  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
キーワード蛋白質ナノスペース / 超高速光反応 / フェムト秒蛍光分光 / Photoactive Yellow Protein / site-directed mutant / ロドプシン / フラビン蛋白質 / 蛍光減衰のコヒーレント振動
研究概要

光励起に対し超高速光異性化反応を示す視覚の光センサー蛋白質Rh,走光性バクテリアの同様な蛋白質PYP及び光生物反応系ではないが、光励起により超高速電子移動反応を行うフラビン蛋白質FPを含めて、これらの蛋白質のナノスペース(PNS)において特異的に超高速、高効率の光反応が起るのは何故かという問題の解明のため、その光反応の基本的なダイナミクスとメカニズムをfs分光による研究で明らかにするのが本研究の目的であり、特に(1)PNSにおけるこれらの超高速反応は振動非緩和状態から起っている可能性大であることが現在までの我々の研究で予想され、(2)Rh, PYP, FPは光吸収を行うクロモフォア分子の構造は全く異なるが類似の超高速、高効率反応を行い、PNSの環境場効果が極めて重要なことを示している点に着目して研究を計画した。
PYPの蛍光減衰過程は非指数関数的であり、蛍光帯の両端でより速い減衰が減衰初期にみられ蛍光帯の尖鋭化が起っていることが分かった。これはクロモフォア蛍光の超高速減衰の原因であるtwistingにcoupleしているクロモフォアやそれと相互作用しているPNSのコヒーレントな振動の振幅が減衰初期に若干dampするためと考えられるが、最近我々はPYP及び種々のmutantも含めて従来よりも高時間分解能の測定を行った結果、蛍光減衰曲線にそのようなコヒーレントな振動による量子ビートを国際的にもはじめて観測した。このコヒーレントな振動はクロモフォアのtwisting運動とcoupleして異性化反応を加速している可能性があるが、mutationによってクロモフォア周辺のPNS構造が若干乱雑になるとtwistingはおそくなりコヒーレント振動は若干速くdampする。
また変性により蛋白質をunfoldingして乱雑な運動をしている水溶媒でクロモフォアが囲まれた状態ではコヒーレントな振動は消滅した。
このような研究を他の蛋白質にも広げ、PNS反応場の特異なメカニズムを解明し、一般的原理を確立する方向へ研究を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] H.Kandori: "Excited-state dynamics of rhodopsin probed by femtosecond fluorescence spectroscopy"Chem.Phys.Lett.. 334. 271-276 (2001)

  • [文献書誌] N.Mataga: "Ultrafast photoinduced reaction dynamics of PYP : observation of coherent oscillations in fluorescence decay dynamics"Chem.Phys.Lett.. 352. 220-225 (2002)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi