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2001 年度 実績報告書

分子スイッチング機能を指向した非平面性拡張キノン系分子の合成と物性

研究課題

研究課題/領域番号 13640534
研究機関大阪大学

研究代表者

蔵田 浩之  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40263199)

キーワード拡張共役系 / キノン / スイッチング / 酸化還元系 / ジラジカル / 光異性化 / 分子不斉 / キノメチド
研究概要

今年度は,非平面性の程度が異なる種々の拡張キノン類を合成し,非平面性と物性の相関を検討した.1-メチルアントラキノン,2-メチルアントラキノン,1,4-ジメチルアントラキノン,1,4-ジメトキシアントラキノン,1,8-ジメトキシアントラキノン,5,12-ナフタセンキノン,ベンズ[a]アントラセン,7,12-ジオンを原料とし,リチウム4-リチオ-2,6-ジ-t-ブチルフェノキシドを反応させた後脱水することで相当するターキノン類(順にターキノン1-7とする)を合成した.このうち,ターキノン5以外について分子のエキソメチレン部の回転障壁エネルギーを見積もった.最も立体障害の小さい2-メチル体2が約17kcal/mlであるのに対し,1-メチル体1は21.8kcal/molであり,さらに1,4-ジメチル体3および1,4-ジメトキシ体4では23kcal/mol以上となり,ペリ位の置換基の立体効果の大きさを示す結果となった.一方,ナフト縮環体6,7についてはそれぞれ21.1kcal/mol,19.0kcal/molとなり,より立体障害が大きいと思われる7の方がエネルギーが小さいことは興味深いターキノン6,7は光照射によるジラジカルヘの変換を行うのに対し,1,3は光異性化反応に対して不活性であり,上記の結果を反映していると言える.また7には分子不斉が存在するので光学分割できればキラルなターキノンの光異性化反応に興味が持たれたが,上記の回転障壁エネルギーから考えて光学分割は困難と予想される.今後,光学分割可能で,かつ光異性化に活性な分子の合成を目指す.
さらに,新規な非平面キノメチド分子である,6-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキソ-シクロヘキサジエン-1-イリデン)-6H-ベンズ[d, e]アントラセン8および7-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキソ-シクロヘキサジエン-1-イリデン)-7H-ベンズ[d, e]アントラセン9を合成した.8は濃紫色,9はオレンジ色の結晶で,9のエキソメチレン結合は室温で容易に回転している.しかしながらその電子スペクトルは溶媒効果を示さず,その構造,非平面性には興味が持たれる.

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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