研究概要 |
1. 光学活性ホストの合成 酒石酸やロジンなどの天然キラル源を活用して新規光学活性ホスト化合物を合成した。たとえば、酒石酸エチルエステルとテレフタルアルデヒドとの反応で得られるビスアセタールをフェニルマグネシウムブロミドと反応させて、新規光学活性ホスト[2-{4-[4,5-Bis-(hydroxy-diphenyl-methyl)-[1,3]dioxolan-2-yl]-phenyl}-5-(hydroxy-diphenyl-methyl)-[1,3]dioxolan-4-yl]-diphenyl-methanol(1)を合成した。また、天然ロジンから得られる光学活性アビエチン酸エステルをフェニルマグネシウムブロミドと反応させて、新規光学活性ホスト(7-Isopropyl-1,4a-dimethyl-1,2,3,4,4a,4b,5,6,10,10a-decahydro-phenanthren-1-yl)-diphenyl-methanol(2)を合成した。 2. 無溶媒条件下での不斉合成 このようにして得た光学活性ホストにプロキラルゲストを包接させてキラルな包接結晶を調製し、無溶媒固相状態で光反応を行わせて光学活性化合物に導く研究を行った。 まず、光学活性酒石酸ジオールホストに各種のトロポロンメチルエーテルを取り込ませた包接結晶を作り、これを固相光照射すると、48〜96%eeの光学活性7-Methoxy-bicyclo[3.2.0]hepta-3,6-dien-2-oneが得られた。(Chirality,2002)次に、同じく光学活性酒石酸ジオールホストにN-アルキルピリドンを取り込ませて、同様に光照射すると、91-99.5%eeの光学活性2-Alkyl-2-aza-bicyclo[2.2.0]hex-5-en-3-one誘導体が効率良く得られることを見い出した。(Organic Letters,2002)また、これらの包接結晶中での不斉光環化の機構をX線結晶構造解析により明らかにした。
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