反応性に富むゲルミル陰イオン(対カチオンはリチウム)とトリフェニルホウ素を反応させ、対応するゲルミルボレートを合成した。化合物の同定はスペクトル的手法を用いて行い、最終的にはX-線結晶構造解析装置で行った。得られた構造はポリマーであったが、メタノール中では二量体構造に変化した。 合成したゲルミルボレートは水、アルコールなどのプロトン性溶媒中でも安定で、取り扱い安い化学種である。また、基質に特異な反応を行う。 白金、パラジウム錯体存在下、アセチレン類と反応する。アセチレンはゲルマニウム-ホウ素結合へ挿入し、ビニルゲルマンを好収率、高選択で生成する。有機ハロゲン化物と反応し、ゲルミル置換生成物をヨウ素>臭素>塩素の順で得る事ができる。酸ハロゲン化物とも容易に反応し、対応するゲルミルケトンを定量的に生成する。エノンとも反応し、β-ゲルミルケトンを生成する。炭素-炭素不飽和結合やカルボニル基とは反応しない。
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