本研究の目的は、「自然環境のサイクルを乱さない、安全で効率のよい物質・エネルギー変換の開発」が考えられる。具体的には、「水の中でのヒドリド錯体の生成メカニズム」および「水の中でヒドリド錯体を用いた触媒的還元反応のメカニズム」を明らかにすることである。本研究は有機溶媒を使わないことから「環境調和型の化学」と位置づけることができる。平成13年度は、アクア配位子の配位数の異なるアクア錯体(M=コバルト、ロジウム、イリジウム)を触媒前駆体とし、ヒドリド源としてのギ酸イオンや水素との反応により、水の中でヒドリド錯体の合成に成功した。また、配位子を修飾することにより立体的、電子的に異なる配位子場の構築に成功した。そして、合成した錯体触媒の構造をX線構造解析により決定した。次に、合成した錯体触媒を用い、ケトン、アルケンなどの有機化合物や、硝酸イオンなどの無機化合物の還元を、pH選択的に進行させることに成功した。得られた成果は論文として発表した。
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