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TTFを大環状に3、4量体化し、その形ならではの特色ある配列をとらせ、それに基づいて多様な物性や機能を発現させることを目指した。難しい合成ターゲットであり、2年間では到達することは出来なかったが、関連した物性・構造研究が進展し、計3報の論文が発表または印刷中である他、1報が投稿中である。
トリメチレンジチオ鎖で連結したタイプの化合物では、3量体の前駆体として、TTF3個で両端のTTFには保護したチオラートを有するもの、TTF2個と1、3-ジチオール-2-オン2個を有するものについて十分な量が得られるようになった。それぞれについて高希釈条件下で、1、3-ジブロモプロパンとの求核置換、あるいは、亜リン酸エステルによる環化の条件を検討したが、目的物は単離されていない。前者では塩基、溶媒の検討、後者では濃度、温度の検討を続けている。
閉環の容易さを考慮して、エチレンジチオ鎖、メチレンジチオ鎖で連結された同様の前駆体の合成も進めたが、溶解度の問題が深刻であり、これらのシリーズの合成は不可能と判断するに至った。
昨年度の成果として、これまで知られていなかったエチレンジチオ鎖で連結された平行型2量体が得られた。これまでに合成された最も歪んだ無置換4架橋TTFスーパーファンである。その電解結晶化体(過塩素酸塩)のX線結晶構造解析もほぼ終了した。中性体は通常のET誘導体と比べると大きく歪んでいるが、電解結晶化体では平面性を回復、分子内/分子間で十分相互作用が可能な形/配列となっており、その物性に興味がもたれるが、伝導度を計れる程の単結晶は現在のところ得られていない。
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