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2002 年度 実績報告書

色素分子の構造変形を利用したスピン多重度変換分子システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 13640577
研究機関京都大学

研究代表者

伊藤 彰浩  京都大学, 工学研究科, 助手 (90293901)

キーワードスピン多重度変換 / テトラフェニルエチレン / ニトロシド / 量子化学計算 / 芳香族アミン多価カチオン
研究概要

スピン多重度変換分子システムの実現に向けて、本年度は前年度に引き続き、前駆体となる各種の芳香族アミンの合成とそのポリラジカルの電子状態について検討した。とりわけ2つのトリアリールアミンをスピロ結合したジアミンについては、2電子酸化により安定なジラジカルを生じ、ラジカル問に強磁性的相互作用が働くことを明らかにした。また最終目的化合物である、テトラフェニルエチレンを基本骨格とし、そのフェニル基に(1)ニトロキシド部位と(2)分子全体の2電子酸化を容易にするジフェニルアミン部位をそれぞれ2つ導入した分子の合成を検討した。部分骨格(1)と(2)を含んだ対称ベンゾフェノンの合成を行い、最終的にマクマリーカップリング反応を用いて、2種類のケトンからマクマリーカップリング反応を用いテトラフェニルエチレン骨格を合成する経路を確立した。最終的にニトロキシドラジカルを導入し前駆体の合成に成功した。前駆体のメタ体とパラ体は酸化前は、2つのニトロキシド部位間にパイ共役を介した強い磁気的相互作用が働くのに対し、酸化後においてはその磁気的相互作用が非常に弱くなることがわかり、スピン多重度が酸化前後で明瞭に変化することがわかった。またパラ体の酸化が2段階の酸化還元挙動を示すのに対し、メタ体では2電子酸化がほぼ同時に起こることが明らかとなった。また酸化後の電子状態も両異性体で全く異なることが、量子化学計算の結果から予測することができた。以上の結果は本系がスピン多重度変換分子として適切であると同時に、異性体では酸化後の電子状態が異なり、変化に富んだ分子系を構築することができることを示している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Akihiro Ito et al.: "Design of High-Spin Organic Molecules : Toward Magnetic Parts in Molecular Electronics"Current Applied Physics. 3巻・2-3号. 149-153 (2003)

  • [文献書誌] Akihiro Ito et al.: "A Spiro-Fused Triarylaminium Radical Cation with a Triplet Ground State"Angewandte Chemie International Edition. 42巻・8号. 921-924 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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