広島大学放射光科学研究センターの円偏光アンジュレーターは紫外から真空紫外領域で円偏光度97%以上、毎秒光子数約10^<14>個の準単色で波長可変の円偏光光源であり、光不斉化反応の光源として高い性能を有していることを明らかにした。また、強力な磁場を持ち高速で回転するパルサー近傍では誘起電場による加速と強い磁場によって相対論的な電子がらせん運動し、赤外から硬X線の広いエネルギー領城で円偏光アンジュレーター光が放出されることを示した。光不斉化反応で生成する複数種類のアミノ酸を同時にかつD体とL体を分離して定量するために高速液体クロマトグラフの高感度化を図り、アミノ酸検出濃度10^<14>molとDL体分離可能濃度10^<-13>molを達成した。 ArFエキシマーレーザー(193nm)やKrClエキシマーランプ(222nm)を用いたアミン、アミドなどの有機分子の水溶液およびアンモニア水溶液への紫外線照射を行い、アミノ酸の生成機構として光照射で遊離アミノ酸が生成する直接過程と光照射でアミノ酸前駆体が生成し加水分解によってアミノ酸となる間接過程が存在すること、有機分子水溶液への紫外線照射では反応有機分子と同じ炭素原子数のアミノ酸が選択的に生成される過程が存在することを明らかにした。また、直接過程と間接過程の比率や同一炭素原子数のアミノ酸を生成する選択性は、アンモニアの存在によって大きく異なることを示した。アミノ酸前駆体について高分解能質量分析を行い、出発分子の数倍となる質量数100から400にわたる多数種の前駆体が生成していることを示した。いくつかの前駆体について、加水分解によってアミノ酸を生成しうる含窒素六員環あるいはそれらの縮合環構造となっていることを明らかにした。
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