1.鎖状ポリエーテルによる金属イオンの抽出挙動と構造 単分散ポリエーテル誘導体を抽出剤として、アルカリ金属、アルカリ土類金属および2価重金属イオンの抽出平衡を調べた。また、2価遷移金属および希土類金属イオンのβジケトン錯体の、単分散ポリエーテル誘導体との3元錯体の抽出平衡を調べた。 錯体の詳しい構造を、NMR分光法によって調べた。イオン半径、荷電数による錯陽イオンの構造の違いを明らかにした。 2 ポリエーテルを置換基として有するフタロシアニンの合成と反応 メチルトリエチレンオキサイドおよびドデシルヘキサエチレンオキサイドを置換基とした、ポリエーテル-フタロシアニン集積配位子を合成した。両親媒性を示し、広い領域にわたる溶媒について電子スペクトルがえられた。これより、スタッキングの情報をえた。NMR分光法により、アルカリ金属とポリエーテル部位で錯形成すること、またその構造について詳細な情報を得た。 3 EDTA錯体の抽出挙動と新規生分解性キレート剤の開発 非分解性のキレート剤の遷移金属イオン錯体の、第4級アンモニウムイオンによる抽出分配平衡を調べた。アンモニウムイオンの対称性、分子量また、金属イオンの電荷、イオン半径などの特性と、分配定数、2量体化平衡へ及ぼす効果との相関より、抽出機構、溶液内構造を推定した。 環境に負荷をかける難分解性のEDTAに替わる、種々の生分解性のキレート剤を合成した。EDTAに匹敵する錯形成能を有する廃位子も得られた。錯体の構造、平衡、速度について詳細なデータがえられた。
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