研究概要 |
--ルテニウム錯体化学発光法の感度の改善と適用範囲の拡大-- tris(bipyridyl)ruthenium(III)cation(以下Ru(III)錯体)の酸化反応を利用した化学発光法の検出感度はバックグランドの発光強度に著しく影響され,感度を改善するにはバックグランドの発光を抑制することが必要となると考えた。また、III価のRu錯体は水と反応してII価になるが.、このとき化学発光しバックグランドの上昇の原因となるので水系を避け、非プロトン性有機溶媒を用いればバックグランドの発光を低減できると考え、非プロトン性有機溶媒に可溶なIII価のRu錯体としてPF_6^-の塩を見い出したので、この塩を非水系でHPLC-Ru錯体化学発光法に適用したところ以下事項が確認できた。a)Ru錯体のPF_6^-の塩は非プロトン性有機溶媒であるアセトニトリルに可溶であること。b)III価のRu錯体のPF_6^-塩の多量合成を確立したこと。c)III価のRu錯体は水により還元されて僅かに化学発光し、バックグランドを上昇させること。d)非プロトン性有磯溶媒であるアセトニトリルの採用によりバックグランドの発光を低減させ、感度を改善できること。e)III価のRu錯体は水により還元され、試薬としての寿命が短くなること。f)非プロトン性有磯溶媒のであるアセトニトリルを採用することにより試薬の寿命は7日間以上と改善されたこと。g)芳香属化合物の検出に応用出来ること。h)その発光機構は、紫外線照射により芳香族化合物が活性酸素を産生し、これがIII価Ru錯体と化学発光反応することに基づくこと。i)脂肪族のパーオキサイドは紫外線照射により活性酸素を放出することを見出した。
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