高速有機化合物分子の表面電離法(HSI ; Hyperthermal Surface Ionization)をキャピラリーガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)のイオン源に組み込んだ装置の試作研究に関し、研究報告書を提出した(平成12年3月、科学研究費補助金基盤研究(B)(1)、課題番号09554052)。 本研究は、この研究の継続的課題として、HSI法及び電子衝撃(EI ; Electron Impact)法を液体クロマトグラフ/質量分析計(HPLC/MS ; High Performance Liquid Chromatography/Mass Spectrometry)に応用する研究を3ヶ年計画で行う。 研究初年度の平成13年度は次の2項目の研究を実施した。 (1)HSI/HPLC/MS装置のセットアップ:研究代表者と分担者間の役割分担は、(i)インターフェース部の排気系の検討と設計(岸)、(ii)イオン源のイオン光学的検討(藤井)、(iii)装置の改造、排気系の操作・点検(岸)である。インターフェース部は、HPLCから流出してくる液体から溶媒のみを蒸発させ試料有機分子をMS部に輸送する最も大切な部分である。A. Amirav型をモデルに設計・製造の途中であり、現在の所、実験データを取得するまでに至っていない。MSは島津(株)製QP5050A型を用いている。HSI用として用いる固体表面(白金(Pt)、イリジウム(Ir)等)をMSイオン源に挿入するための部品装置として、直接試料導入装置(QP5050A用DI-50型)を購入した。 (2)HPLC/HSIの検出特性の検討:HPLCからの液体流出物を、質量分離(MS)せずにHSI法で直接検出する手法を確立することは、本研究の前段階として大切である。本年度、この研究も行った。固体表面白金(Pt)、イリジウム(Ir)を用いて、多環芳香環化合物(PAH)、アルキルアミン等をガスクロ法(GC/SID)と同程度の感度で検出出来ることを明らかにした。
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