研究概要 |
暗黒下でも、栄養分の補給があると植物は花芽形成する。シロイヌナズナ野生型植物でも、液体振とう培養すれば、花芽形成することを既に明らかにしていた。その条件下で、シャーレにて静置培養しても「もやし」になるだけであった。その後、cop1-6突然変異体は、前者の条件はもちろん、後者の条件でも花芽形成することを発見した。 本研究は、この知見に基づき、その分子的基盤を明らかにするために研究した。 1.暗黒下静置培養状態で、野生型植物の「もやし」と、cop1-6変異体の「花芽形成体」の花芽形成関連遺伝子群の発現を解析した。その結果、大部分の遺伝子はきわめて少量発現していることを発見した。 2.その中で、AP1遺伝子のみ、「もやし」状態では、発現せず、花芽形成に伴って発現していることを発見した。 3.明条件での、花成遅延変異をcop1-6変異体に導入した。そして、暗黒花成の有無・花成日数・葉の発達を調べた。その結果、gi,変異は、明らかな花成遅延を発見した。ld変異では、花成遅延しなかった。co,変異はあまり差がなかった。後者については、弱い変異であることが原因と推察した。 4.cop1-6変異によって花成する経路は、GIとおそらくCO両遺伝子産物を使っていることが推定された。 5.4.の遺伝子につき、分子レベルでの相互作用を検討した。 6.AP1遺伝子の発現を用いれば、暗黒下であっても花芽形成の「発現オン」の状態であることを確認できることになる。したがって、この遺伝子の「構成的発現変異体」を単離すれば、暗黒下であっても花芽形成するシグナルの変異体を同定できると考え、そのような突然変異体を単離した。
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