アサガオの突然変異体のほとんどはトウモロコシのEn/Spmに類似のトランスポゾンによって誘発されていることが明らかになってきた。これまでの研究で、Tpnlファミリーは全て共通の、両端の28塩基対からなるTIR、その内側の多数の反復配列を含むsubterminal領域、またその内側の自律型因子に由来すると考えられる配列を含んでいた。Tpnlファミリーは、さらに内部にアサガオゲノム由来の種々の遺伝子、例えばミオシン、βガラクトシダーゼ、AP2等を持っており、これらの配列から複数のグループに分類される。これらのTpnトランスポゾンは体細胞、生殖細胞を通じて現象レベル、分子レベルにおける解析によって転移している証拠が得られており、Tpnファミリー共通の末端配列を認識して転移を起こすトランスポゼースをコードしている自律型のトランスポゾンを含むと考えられるが、現在まで同定されていない。この自律型のトランスポゾンを単離するために、他の、En/Spmファミリーで保存されている部分のプライマーを設計し、易変性を示す系統由来のmRNAからRT-PCRによって増幅される断片を得た。自律型因子はこれまで得られているTpnlファミリーより大型の可能性があるため、新たにコスミドライブラリーを作成し、このPCR断片をプローブに、対応するクローンを複数得た。分子構造・塩基配列を解析したところ確かに、En/Spmトランスポゾンで保存されている配列を保持していたが、不思議なことに、その外側にTpnlファミリー固有のsubtermnal配列を持たなかった。そのため、別の保存部位にもプライマーを設計し、複数の共通ドメインをもつクローンを選び出し、現在解析を行っている。
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