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2003 年度 実績報告書

侵入生物の飛び火的分散と空間伝播パターンに関する数理的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13640627
研究機関奈良女子大学

研究代表者

重定 南奈子  奈良女子大学, 理学部, 教授 (70025443)

研究分担者 高須 夫悟  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70263423)
川崎 廣吉  同志社大学, 工学部, 教授 (10150799)
キーワード確率効果 / 長距離分散 / 伝播速度 / 分散カーネル / 生物侵入 / 階層的拡散 / 差分積分モデル
研究概要

昨年まで、侵入生物の飛び火的分散を取り入れたメカニスティックモデルの構築を目指して,階層的拡散モデル,積分差分モデルならびにセルオートマトンモデルの理論的な解析を行ってきた.それらをもとに、巨視的な領域で飛び火的な分布拡大を行っている侵入生物を理論的に解析するための数理モデルとして、新たな総合モデルを構築した。即ち、短距離移動によるローカルな分布拡大はすでに拡散方程式で得られている現象論的結果を、一方長距離移動は積分差分モデルで採用されているメカニスティックな飛翔距離分布を相互に階層的に組み入れることで、飛び火的現象を鮮明に抽出するモデル構築を行った。また、グローバルな伝播過程を効率よく記述するために、局所的な現象は捨象するセルオートマトンの手法を導入した。これにより、時間的空間的に多様なスケールで起こる侵入過程を連続的に理解するための理論体系が築かれた.
また,この統合モデルの応用例として,茨城県で拡がったマツ枯れの感染伝播過程をシミュレートした.マツ枯れのローカルな分散は詳細に観測されたデータに基づいた拡散モデルからその定性的性質を抽出し,長距離分散は指数関数による確率密度分布を適用した.また,分布域の時空間変化は茨城県の平均的なマツ林のブロックをセルの単位としたセルオートマトンの上で評価した.これら3つの手法を融合することにより,茨城県全域におけるマツの初期分布や被害の年次変化等の膨大なデータを効率的に組み込んで、マツガレの伝播パターンを再現することに成功した.これにより、年4kmの伝播速度は、飛び火的な分布拡大によって起こることが明らかになった。さらに、マツガレ防除が分布拡大速度をどの程度減少させうるかについても詳細な検討を行った。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kinezaki, N., Kawasaki, K., Takasu, F., Shigesada, N.: "Modeling Biological Invasions into Periodically Fragmented Environments"Theoretical Population Biology. 64. 291-302 (2003)

  • [文献書誌] Osawa, K., Kawasaki, K., Takasu, F., Shigesada, N.: "How does spatio-temporal disturbance influence species diversity in a hierarchical Competitive System? : Prospective Order of Species Coexistence and Extinction"Population Ecology. 45. 239-247 (2003)

  • [文献書誌] 重定南奈子: "数理を通してみたマツ枯れの侵入と伝播"文部科学教育通信. 81. 28-29 (2003)

  • [文献書誌] 福谷郁子, 重定南奈子, 高須夫悟: "リンデンマイヤー・システムとしての植物根系の形態.In:生物の形の多様性と進化-遺伝子から生態系まで-(関村・野馳,森田編)"裳華房. 10 (2003)

  • [文献書誌] Shigesada, N., Kinezaki, N., Kawasaki, K., Takasu, F.: "Biological Invasion into Periodically Fragmented Environments : Diffusion-Reaction Model In : Morphogenesis and Pattern Formation in Biological Systems Experiments and Models"Springer-Verlag. 8 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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