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2001 年度 実績報告書

浅い富栄養湖沼のひとつの安定系モデル「水生植物系」を成立させる要因の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13640639
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

高村 典子  独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 総合研究官 (80132843)

キーワード生物多様性 / 湖泥 / カタストロフィー / 安定系 / 生態系管理 / 生態系サービス
研究概要

1.植生が異なる釧路湿原3湖沼において、植生が水質とプランクトン群集に及ぼす影響を調べた。沈水植物群落が多い湖はほとんど存在しない湖に比べ、制限栄養塩濃度当たりのクロロフィルa量が少なかった。沈水植物が豊富な「水生植物系」から「植物プランクトン系」に移行する制限栄養塩濃度とクロロフィルa量が推定できた。さらに、沈水植物群落の有無は植物プランクトン組成に大きな影響があることがわかった。釧路湿原内にある達古武沼は、現在沈水植物群落喪失の危機にあるため、早急な対策が必要である。
2.兵庫県三木市、小野市、神戸市、明石市、加古川市、稲美町、社町のため池35ヶ所を対象に、景観(集水域の土地利用、周辺環境、植生)、環境要因(水質、池環境)、生物多様性(トンボの幼虫・成虫、プランクトン、ベントス、魚)などを現地調査した。池周辺の景観要素と池の植生は、ヘリコプターによる空中写真を基に画像上で定量化した。池の水質環境は主成分分析の結果、樹林で囲まれている谷池群が市街地や田園地帯にある皿池群と異なり、栄養塩レベルが比較的低いという一つの傾向を示した。水質環境は池の中の植生にも大きく規定された。すなわち、景観に関係なく植生のない池の水質は、それ以外の池に比べて、pH、アンモニア濃度、底泥付近の溶存酸素濃度がそろって高い傾向を示した。植物プランクトン種の出現を対応分析で座標付けした結果、主軸は変動の18%を説明し、pH、TN、Chl. aと有意な負の相関を、抽水植物数、浮葉植物数、全水生植物数、水生植物機能数(沈水、浮葉、抽水のいくつが揃っているか)と有意な正の相関を示した。正の方向には、藍藻を除く多くの種が分布したが、負の方向にはアオコを構成する藍藻が分布した。こうした結果は植物プランクトン種の出現が、水生植物群落の有無と関係していること、そのためその分布がリンでなく窒素と相関すると理解でき興味深い。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Takamura, N., Kadono, Y., Fukushima, M., Nakagawa, M., Kim, B.: "The role of submerged macrophytes and their critical condition of three lakes in Kushiro Moor."The 9th International Conference on the Conservation and Management of lakes. Conference Proceedings. S4. 163-166 (2001)

  • [文献書誌] 高村典子: "湖沼環境保全と生物多様性"海洋と生物. 24巻(発表予定). (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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