Orf7.5とシグマ因子RpoD1との相互作用:pRS415ベクターにgroESLオペロンのプロモーター領域とlacZレポーターとのオペロン融合遺伝子をクローニングした。このレポータープラスミドを保持した大腸菌に、pMW219ベクターにクローニングされ、lacZプロモータ調節下におかれたorf7.5を導入し、IPTG依存的に発現させた。Orf7.5タンパクの発現はgroESLプロモーター活性に影響を与えなかった。ゲルシフト解析でも、精製Orf7.5タンパクとgroESLのプロモーター領域との相互作用はみられなかった。最近、東京農業大学の吉川博文教授らは酵母2ハイブリッドシステムを用いて、Orf7.5とSynechococcus sp.PCC7942株のシグマ因子RpoD1とが特異的に相互作用することを示した(未発表)。Orf7.5がシグマ因子と相互作用し、groESLオペロンを正に調節するのではないかと仮定して吉川教授らとの共同研究を進めている。groESL遺伝子の転写調節:groEL遺伝子の発現調節機構を明らかにするために、Synechocystissp.PCC6803株のHrcA遺伝子破壊株を構築して、このリプレッサーが結合するオペレーター配列であるCIRCEを有する二種類のgroEL遺伝子の転写調節が脱抑制されることを明らかにした。しかし、熱ショックにより、変異株のgroEL発現量がさらに増加したので、C.IRCE/HrcA抑制機構以外にも発現調節機構が存在することが示唆された。低分子量Hsp遺伝子(hspA)の転写及び転写後調節:好熱性ランソウSynechococcus elongatus細胞抽出液中にhspAのプロモーター領域に結合するタンパク質が存在することと、このタンパクが結合する特異的な配列を明らかにした。転写後レベルでは、リボソームとの相互作用により高温におけるhspA転写産物の安定化や翻訳効率の増加が誘導されることが示唆された。光合成電子伝達系のレドックス状態によるHsp遺伝子の発現調節:プラストキノンの酸化還元状態によりHsp遺伝子の発現レベルが調節されていることが示唆された。低温順化におけるHtpGの役割:htpG遺伝子破壊株の表現型の解析から、この遺伝子が低温順化に重要であることが示唆された。
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