1.ランソウの熱ショックタンパク質(Hsp)遺伝子の発現調節 (1)Orf7.5は、それ自身ではSynechococcus PCC 7942のgroELオペロンの5'上流調節領域と結合しないが、Orf7.5が相互作用することにより主要シグマ因子がこの領域と結合するようになった。Orf7.5は主要シグマ因子を介して「正」の転写調節に関与するという作業仮説をたてた。(2)Sybechocystis PCC 6803のhrcA遺伝子破壊株を構築し、groELは主要シグマ因子を結合したRNAポリメラーゼにより転写されるが、その調節は「負」(CIRCE/HrcA抑制機構)と、未知の「正」の機構からなることを明らかにした。(3)好熱性ランソウの低分子量Hsp遣伝子(hspA)の5'非翻訳領域に特異的に結合するタンパク質を検出した。このタンパクのmRNA結合活性の経時変化とhspAのmDNAの蓄積量の変化には負の相関があった。(4)生物に普遍的に観察される熱ショック応答、即ちストレス後、迅速に一過的に起こる転写発現が、ランソウでは光によって制御されることを初めて明らかにした。 2.Hsp選択的翻訳のメカニズム hspAのコード領域に存在する塩基配列(downstream box)と165 rRNAとの相補的な相互作用により高温におけるhspA転写産物の安定化や翻訳効率の増加(選択的翻訳)が誘導されることを示唆する結果を得た。 3.Hspの細胞機能 HtpGが高温のみならず、低温や強光下でもランソウの生育や生存に重要であることを明らかにした。 4.マルチシャペロン複合体の単離 GroEL及びDnaKと、48kDaの未知のタンパク質を含む450kDaの新規な複合体が低温で誘導されることを発見した。この複合体の蓄積はhtpG遺伝子破壊株では阻害されることから、HtpGがその形成に関与することが示
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