研究概要 |
植物細胞の細胞分裂に伴う細胞壁の新規構築は、隔膜形成体(phragmoplast)の働きによる細胞板の形成と共に行われる。隔膜形成体の役割は、多糖や多糖合成酵素を含んだゴルジ小胞を細胞板形成面に集積させることであり、この小胞集積には、微小管を軌道とした小胞輸送系が働くと考えられている。本研究は、従来の研究によって挙げられてきた候補蛋白質(p120、TBK5、TBK7、TBK10)の機能を多角的に解析することにより、細胞板成分の輸送を担う微小管附随型モーター蛋白質を同定することを目標とする。本年度の研究実績は次のとおりである。 1)TBK5,TBK7のモータードメイン欠損型変異蛋白質を発現させるためのベクターコンストラクトを作成し、タバコ培養細胞への形質転換を開始した。これまでの解析で、TBK7変異体蛋白質の誘導発現によって、頻度は非常に低いものの多核細胞が生じることが分かっている。 2)GFP付加型TBK5を過剰発現させると微小管構築に大きな変化が生じることを見い出した。(この現象は、TBK5が細胞壁成分の輸送ではなく、むしろ微小管構築制御に働くことを意味している。)
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